マーケティングにおけるオムニチャネル化のハードル

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マーケティング活動のオムニチャネル化においてハードルとなるのは、商品情報、在庫情報、位置情報、そして顧客データのデジタル化です。

商品、在庫、位置情報については流通企業を筆頭に社としてのオムニチャネル戦略が続々と発表され、下地が揃ってきたように思います。
今後はオンラインの顧客データとオフラインの顧客データの統合が進み、マーケティングの打ち手がオムニチャネルになる事でしょう。

先日の弊社セミナーでもその辺りの話しを重点的に話しました。

日米オムニチャネル最新動向 ~Online×Offline Data Integration~
http://www.slideshare.net/

おそらく今までの小売店でよくあるマーケティングの一例として、

  • お店の購買情報に基づいてセグメントを作り、セール情報などのDMを送る
  • ロイヤリティカードの履歴から効果を測定し配信セグメントを見直す

こういったケースがよくあるでしょう。

今後は、

  1. 過去のDM反応率の悪いクラスタに「DSPでリーチする」
  2. 購買頻度の低いセグメントが店舗に近づいたら「スマホでプッシュ通知をする」
  3. DSPでキャンペーンを訴求してクリックした顧客が「店舗で買い物をした」と測定する。

と言ったような事が可能になるはずです。

On Boarding(オフラインの購買情報をデジタル化)によるCRMとアドテクノロジーの接近

商品情報、在庫情報、位置情報がデジタル化されても顧客情報が住所と名前だけでは上記のようなオムニチャネルなマーケティングは実施出来ません。そんななか登場したのが、オフラインの顧客情報をデジタル化するDatalogix,LiveRampといったOn Boardingという業態です。

http://www.datalogix.com/
http://liveramp.com/

LiveRampは今月オフラインのデータベースマーケティング大手Acxiomに$310Mで買収された。

Acxiomは1970年代からあるCRMの大手でしたが、2011年に現在のScott Howeがオンラインマーケティング業界から同社のCEOに就任し、デジタル化が急速に進みました。オフライン、オンラインを統合したダイレクトマーケティングを推進しています。

Datalogixの方は5/28に$45Mの資金調達をするなど独立系を保っています。
2012年にfacebookと提携し、facebook上でカスタムオーディエンスセグメントを作れば、オフラインの購買と紐づける事が可能です。同様の事はtwitterでも可能になりました。

LiveRampやDatalogixはオンラインデータ上でオフラインの顧客データや購買情報とマッチングさせます。CRMデータベース内でのユーザー訪問データをパートナーのサイトやアドテクノロジー企業と接続可能にします。
今までオンラインの行動履歴中心だったDMPに店舗での購買履歴がドッキングするのです。

Acxiomは今回の買収に際して発表したリリース記事によると、最も価値のある顧客情報はオンラインによる行動履歴データではなく、ロイヤリティプログラム経由で分かる店舗での購買やコールセンターのレスポンスだと感じているようです。CRM業界とアドテクノロジー業界の急速な接近が進んでいます。

懸念はプライバシー

一方で、マーケティング業界は大歓迎のOn Boardingですが、懸念はプライバシーです。実際に2012年にFacebookとDatalogixの提携が発表された際に、米電子プライバシー情報センター(Electronic Privacy Information Center:EPIC)はFTCに調査を依頼しました。
やり取りされる情報の匿名性はもちろん担保されていますが、実際に消費者がそれをどう感じるかが重要ですね。

大手企業による買収の成否と日本での広がり

オフラインデータとオンラインデータの統合によって今まで不透明だったキャンペーン全体の投資対効果が明らかになりつつあります。AcxiomのCEO Scott Howeにとって喉から手が出るほど欲しかったのがこのLiveRampというOn Boardingソリューションではないでしょうか。

ただし、今回のAcxiomによる買収はまだ見通し不透明なことが残ります。
LiveRampが中立的なデータインテグレーション企業だったために成り立っていたデータの交換が、大手に買収される事によりクローズドなエコシステムにされてしまう可能性です。データは統合したけど、配信先が限定的、などは導入している顧客からすると本末転倒になります。データ統合はLiveRampを利用していたが、CRMはEpsilon(Acxiomの競合)だったとすると、CRMの大手企業による買収を顧客は歓迎しません。そのあたりは心得ているようで今後もオープンなエコシステムであり続ける事を宣言していますが本当の狙いはわからないですよね。

日本でもオフラインデータのデジタル利用は間違いなくニーズのあるテーマだと思いますが、いきなりオープン化は難しいので、まずはプライベート利用からスタートすることになりそうです。DMPの利用が広告主の間で進んでいますので、そこに順次統合されていくとオムニチャネルマーケティングがさらに広がることでしょう。

 

参考;
Facebook Gives Marketers More Audience Insights
http://www.clickz.com/

Twitter Strings Datalogix to Offline Sales
http://www.clickz.com/

Acxiom To Buy LiveRamp For $310M
http://www.adexchanger.com/

Acxiom Acquires LiveRamp to Boost Offline
http://adage.com/

Privacy experts to ask FTC to probe Facebook-Datalogix deal
http://www.cnet.com/

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八田浩

代表CSP合同会社
2001年明治大学経営学部卒業。 証券会社勤務の後、2004年株式会社オプト入社。 2006年名古屋営業所立ち上げ、2008年電通との資本業務提携においては協業責任者として同社へ出向。 2010年オプトに帰任し、従来の広告代理事業に加え、アドテク事業、動画事業、オムニチャネル事業のメディア/商品開発を担当。2011年7月株式会社オプト執行役員に就任。2015年4月~2016年3月まで同社取締役に就任。2015年12月より当社代表取締役社長に就任。