広告IDコンソーシアムのDigiTrust参加表明。ユーザートークン標準化でGoogleとFacebookを止められるか
先月「Advertising ID Consortium(広告IDコンソーシアム)」が「DigiTrust」という別のコンソーシアムへの参加を表明しました。DSPプレイヤーとしてお馴染みのMediaMathは「Advertising ID Consortium」の立ち上げに参画していましたが、昨年秋に同コンソーシアムを抜け、今年の3月に「DigiTrust」に参加しています。
一見すると非常にややこしい構図となっていますが、ここを整理しながら「ユーザートークン/広告ID」を取り巻く状況を確認しておきましょう。
画像:MediaMath Blog – Ad ID Joins DigiTrust (Not the Other Way Around!) Brings the Industry Closer to Neutrality and Independence
「Advertising ID Consortium」は、昨年5月にIDデータ照合技術プロバイダーであるLiveRampと、アドテク企業のAppNexusおよびMediaMathが中心となって立ち上げられました。プログラマティック広告で人ベースのマーケティング精度をさらに進めていくことを目的とし、LiveRampのIdentityLink(アイデンティティリンク)技術とクッキーをベースにしています。
もう1つのコンソーシアムである「DigiTrust」は、どのベンダーにも依存せずに、あくまで「中立」「独立」「非営利」であることを掲げています。また、今年の4月にはIABテックラボに買収されました。
MediaMathが「Advertising ID Consortium」の立ち上げに関わりながらも「DigiTrust」へ鞍替えした理由に関して、同社ブログにて「Advertising ID Consortiumがより広範に利用されることを想定していない方向へと舵を切ったこと」を挙げています。また同社VPであるJohn Slocum氏は「DigiTrustのように、ベンダーから独立したアプローチ(によって作られる共通ID)の方がよいと判断しました」と結論づけています。
クッキーベースのユーザートークンを使ってリアルタイムにパーソナライズ化されたコンテンツやメッセージを個別のユーザー、ブラウザ、コネクテッドデバイスに届けるためには、それぞれの事業者が複雑なシステムとプロセスを使って他のパートナー企業が利用している様々なトークンを同期しなければなりません。これは「ピクセルシンク(またはクッキーシンク)」と呼ばれ、多くの企業が利用していますが、時にWebページ上で100を越えるサードパーティのリクエストを処理する必要があるため、パブリッシャーが顧客に提供するWeb体験を損ねるだけでなく、サードパーティ企業にとってもコストがかかる状態となっています。
そして、この問題を解決するためのソリューションが、クッキーの中に格納される「DigiTrust」の標準化されたユーザートークンということです。
ここで注意しておくべきことは、GoogleやFacebookは固有のIDを抱えているため、このような広告IDの統一が必要ないということです。各ベンダーが個別にIDを割り当てデータを交換するためにクッキーを同期させて…としていたことが、結果としてデュオポリー(Duopoly)を加速させてしまいました。
さらに、言うまでもありませんが、3番手として猛烈に追い上げてきているAmazonも同じく固有のIDを持っています。ベンダー達は戦う相手を間違えてはいけません。
参考:
MediaMath Blog – Ad ID Joins DigiTrust (Not the Other Way Around!) Brings the Industry Closer to Neutrality and Independence
Why MediaMath ‘unjoined’ the Ad ID Consortium – MarTech Today
Ad ID Consortium Joins Forces With DigiTrust | AdExchanger
Advertising ID Consortium
DigiTrust, – neutral, non-profit, standardized ID for digital media


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