Spotifyの上場を支えるプログラマティック取引を活用した新たなフリーミアムの形

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ついにSpotifyが上場します。ダイレクトリスティングという面白い上場手法をとっており金融的にはその成否が注目されていますが、今回注目したいのは、Spotifyの収益構造に占めるプログラマティック比率の高さとその成長率です。

Daniel Ek画像:Spotify files to go public as it discloses subscriber growth and heavy losses – The Verge

まずは簡単に過去3年間の決算内容を確認してみましょう。売上の伸びが凄いですが、同じく純損失も大きく膨らんでいることがわかります。

単位:百万ユーロ
2015年 2016年 2017年
売上 1,940 2,952 4,090
粗利益 226 401 849
純損失 230 539 1,235

ニューヨーク・タイムズも伝えている通り、Spotifyが今回提出した書類(Form F-1)によれば、同社最大のコストは音楽利用にかかるライセンスで、昨年だけで15億ドル、2006年に創業してから昨年末までに支払ってきたライセンス料の総額は100億ドル(80億ユーロ)に上ります。

一般的にフリーミアムとサブスクリプションを提供するサービスは、膨大な無料ユーザーのためのコストを一部のプレミアム会員が支えるというビジネスモデルのため、無料ユーザーの増加に神経を尖らせます(Spotifyの2017年プレミアム会員数は46%増の7,100万人となっています)。

2017年における売上が50億ドル(40億ユーロ)のSpotifyの場合も、その売上の90%をサブスクリプション収入から得ています。ただ、同社の強みは、順調にプレミアム会員を増やせるだけでなく、非常に高いエンゲージメントを誇る1.59億人のMAUがいる広告メディアとしても収益を生み出せる点です。

実際に音声だけでなく動画、そしてプログラマティックによる収益化を積極的に進めていて、2017年は

  • プレミアム動画が74%増(広告収入全体の29%)
  • プログラマティック取引によるインプレッションが31%増(販売したインプレッションの49%がプログラマティック取引)
  • プログラマティックによる売上が100%増(広告収入全体の18%)
  • インプレッション毎の平均単価が7%増

という結果を残しており、広告売上自体も41%増となっています。

このモデルのおかげで、無料で楽しむユーザーの増加をコストの増加と恐れることなく、無料ユーザーおよび有料ユーザーの両方を増やしながら、ビジネスを成長させることができます。

Spotifyは、約1ヶ月ほど前のAdExchangerによるインタビュー時に「ブランド側の多くの人が、私たちをオーディオのプラットフォームだと思っているので、Spotifyがマルチメディアプラットフォームになっていることを知ってもらえるよう、これからも努力を続けます。」と伝えていました。

現状はオーディオ広告が主であることは間違いなさそうですが、プレミアム動画広告も順調に伸びてきています。Spotifyは、そこにデータ活用を可能にするプログラマティック取引を加えることが、広告製品ポートフォリオの拡大と広告事業の成長を支えていくカギとなり、さらにそれらをセルフサービス化することが、広告プラットフォームとしての同社の効率とスケーラビリティを高めていくと力強く語っています。

参考:
Spotify files to go public as it discloses subscriber growth and heavy losses – The Verge

Form F-1 Spotify Technology S.A.
Spotify Files to Go Public on the New York Stock Exchange – The New York Times
Spotify’s F-1 Shows Programmatic Makes Up 18% of Ad Revenue | AdExchanger
Spotify Will Turn Up The Volume On Programmatic And Podcasting In 2018 | AdExchanger

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