ユニリーバの意図は批判ではなく改善。GoogleやFacebookに対して広告主が本当にやるべき事とは?

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先週行われた米国のネット広告業界団体であるIAB(Interactive Advertising Bureau)のイベントにおける、ユニリーバのCMOキース・ウィード氏の講演に大きな注目が集まっています。YouTube(Google)およびFacebookを取り巻く環境を厳しく批判し、予算を削減していたかと思えば、一転してスタンスを大きく変えてきたという印象を持たれる方も少なくないかもしれません。ただ、もともと批判をしていたわけではなく、あくまで広告業界、そして社会全体を良くするための対話を重ねていたようです。

keith-weed-Unilever-CONTENT-2018画像:Q&A: How Unilever’s CMO Is Trying to Help Make Digital a Safer Space for Brands – Adweek

「子どもに悪影響を与えたり、社会の分裂を助長するようなプラットフォームに投資はしない」という姿勢をハッキリさせていることから、批判の急先鋒だと思われていたユニリーバですが、GoogleやFacebookを見捨てるどころか、むしろこの局面を打開するためにパートナーシップを強化するべきという考えを打ち出しています。

YouTubeに氾濫する子どもには不適切な動画や、アメリカ大統領戦などで注目が高まったFacebookにおけるフェイクニュースなど、昨今の(広告)プラットフォームを取り巻く懸念を「ブランドセーフティ」のような業界内の問題として捉えるのではなく、広告業界として社会全体に悪影響を及ぼし始めていることを認識した上で、それらの問題の調査とその対策を進める必要があると、ウィード氏は主張しています。

つまり、社会的に悪影響を及ぼすプラットフォームを単純に拒絶するのではなく、より多くの投資を行い、さらに密なコラボレーションを通じて改善していくことを目指すべきということです。

テクノロジー企業によって予期せぬ問題は起こりうること、そして今、その問題に取り組むべき必要があることを踏まえた上で、ウィード氏は「テクノロジー企業を名指しで非難し、改善を求めることは簡単です。ただ、この部屋にいる一人ひとりがパートナーシップに力を入れ、このデジタルサプライチェーンを社会全体の人のためになるサプライチェーンにするために倍賭けする方がはるかに意味があります」とIABのセッションで語っています。社会貢献をミッションとしているユニリーバらしい考え方だと言えるでしょう。

Adweekによるインタビューの中でも、どのようにプラットフォームにプレッシャーをかけるのかという問いに対し、ウィード氏は「最後通告を突きつけ、(対応できないのであれば)予算を削減し放っておく、というのがベストだとは思いません。(中略)最終的に、予算を動かすことはできます。すでに私たちは予算を減らしています。ビューアビリティとサードパーティによる広告検証において、私たちが求める基準は今までずっと明確にしており、それに対して(基準を満たせていないので)予算は別のところに移動しています」と、広告出稿へのスタンスは明確にしつつ、同時にプラットフォームを切り捨てるのではなく、いかに協力関係を続けていくのか、そのバランスを取っているようです。実際にYouTubeとFacebookは自らを改善し始めています。

さらに、ユニリーバにとってのメディアエージェンシーの役割について聞かれると「GroupMが私たちの主な代理店ですが、OmnicomやInitiativeとも仕事をしています。GroupMは先を読み、かつ積極的で、私たちのビジョンを形にするためのサポートを行ってくれています」とウィード氏は伝えています。ブランド広告主が代理店を公の場で褒めるのはとても珍しく、自社の考えを代理店がGoogleやFacebookに代弁していること、そしてその実行にも深く関わっていることを感じさせます。

ユニリーバが掲げるビジョンの通り、GoogleやFacebookと対立するのではなく、彼らの問題を共に解決する事で「サステイナブルな社会が実現する」とウィード氏も信じていることが、ひしひしと伝わってきます。

参考:
Our vision | About | Unilever global company website

What Unilever’s CMO really said about Google and Facebook | Marketing Dive
Q&A: How Unilever’s CMO Is Trying to Help Make Digital a Safer Space for Brands – Adweek

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