暴かれた闇。AdobeとAppNexus提携がこれからプログラマティックを好転させる契機となるか?

Pocket
Share on LinkedIn
LINEで送る

ブラックボックス化されたプログラマティック取引の闇が、いよいよ表に出始めました。それを象徴するかのように先週木曜日、Adobe Advertising CloudとAppNexusが、DSP/SSP間における取引手数料の透明化に取り組む試験的なプログラムを行うことを発表しています。

Adobe
画像:Adobe Advertising Cloud, AppNexus Partner To Provide Full Supply-Chain Transparency | Adobe Blog

AdobeとAppNexusの提携によって、Adobe Advertising Cloudのプラットフォーム手数料およびアドオンへの支払いから、AppNexusのパブリッシャーへの支払いまで、サプライチェーンのお金の動きすべてが公開されることになります(3月よりAdobe AdvertisingのUIにて見られるようになる予定)。また、両社はこれから他のDSPとSSPとのパートナーシップに向けて動く予定と伝えられています。

今回発表されたプログラムではDSPとSSPの間でやり取りがあると言われるリベートが明らかにならないなど、”抜け穴”があるとも言われていますが、それでも業界全体にとって大きな意味があることは間違いありません。

しかし、そもそもなぜ透明化が求められているのでしょうか。

AdExchangerが10を越える情報提供元に行ったインタビュー調査によって、プログラマティック取引を取り巻く隠されたコストが明らかになりました。すべては、上がり続けるインフラコストとイノベーションを求められるプレッシャーに晒されたDSPが、新たな資金源を得るために試行錯誤した結果のようです。それらの隠されたコストとは、以下の4つです。

1. QPSリベート(Queries Per Second / 毎秒ごとのクエリに対する)

SSPが利益を最適化するためにヘッダー入札を行い、エクスチェンジに提供される広告在庫が増えると、結果としてDSPへは”余分な”コストがかかります。エクスチェンジがDSPに広告在庫を買い付けて欲しいと考える一方で、DSPはヘッダー入札によるコールから生じたコストをカバーするためにエクスチェンジからのリベートを要求する、といった構造となっています。

インタビューに答えたエクスチェンジ側の情報提供者たちは、小さなDSPだけでなく大手プレーヤーからも同じような要求が出始めており、DSPのビジネスモデルが苦しくなってきていることがうかがえます。

2. 相違(Discrepancy)手数料

プログラマティック取引において、SSP/DSP間の数字の食い違いは死活問題ですが、その数字の食い違いを埋めるために多くのDSPでは1ドルで入札された広告を1.03ドルや1.05ドルに切り上げることができると、DSPのBeeswax社CEO、Ari Paparo氏は伝えています。

実際、何かしらの原因で相違が起こることがあるため、そのような食い違いに関してエクスチェンジ、DSP、メディア購買担当者間で若干異なった契約条件を取り決めることがあります。あるエクスチェンジ側の情報提供者によると、SSPの数字をもとに請求するのではなく、相違による手数料を分割するようメディア購買担当者から頼まれることが増えているようです。DSPがこれを行う理由として、メディア購買担当者との契約条件も変更しているのか、それともマージンを増やそうとしているだけなのかは定かではありません。

3. データ手数料

メディア購買担当者であれば、DSPによって提供されるデータを利用する度にDSPが利益を上げていることはご存じでしょう。DSPはデータ会社からのリベートとして手数料の一部を受け取ったり、データプロバイダーからのレートへさらに手数料を上乗せしたりすることもあれば、ルックアライクのようなユニークな機能を提供することでその代価を請求することもあります。

ここでの問題は、何に対して手数料がかかっているのか不明瞭なため、メディア購買担当者は支払っている代価に見合った価値を得られているかどうかがわからないということです。

4. サプライ・パートナーシップ

メディア購買担当者は、配信先がキュレーションされたマーケットや動画広告在庫を利用する際、その担保された品質やビューアビリティに対して対価を払いますが、そのための手数料が明らかにされることはありません。

データ手数料と同じように、小口のメディア購買担当者にとってはDSPが窓口となってくれることで利点はありますが、大手の場合は自社で直接サプライサイドと交渉する方が条件が良くなることが少なくありません。

プログラマティックのこれから

プログラマティック取引の市場が大きくなるにつれ、様々な立場に立つテクノロジーベンダーが登場しました。

広告主のメディア購買担当者は自社のブランドを生活者に届けることは当然として、そのコストをどのように最適化するかを考えるためにプログラマティック取引の構造を理解しなければなりませんが、その歴史は長く、複雑かつとても専門的です。

選択肢はたくさんあります。今回簡単にご紹介したAdExchangerのインタビュー調査結果を見るだけでも、DSP、SSP、エクスチェンジがそれぞれ「誰のための課題を解決するために努力をしているのか」がよくわかると思います。彼らの努力なくして市場形成はできません。開発にはお金がかかるので、売り手がお金を稼ぐこと自体は悪いことではありませんが、買い手がそのビジネス構造に光を当て、隠された手数料をあぶり出すことが重要です。

「自分たちの課題解決を手伝ってくれるパートナーは誰なのか?」を、ぜひ見つけてほしいと思います。

参考:
Adobe Advertising Cloud, AppNexus Partner To Provide Full Supply-Chain Transparency | Adobe Blog

Adobe And AppNexus Shed Light On All Fees From DSP To SSP | AdExchanger
Investigation: DSPs Charge Hidden Fees – And Many Can’t Afford To Stop | AdExchanger

The following two tabs change content below.
アメリカをはじめ、海外のデジタルマーケティングに関する情報を 海外の情報源から集め、最先端のトレンドを提供しています。 皆様のビジネスに役立つ記事づくりを目指します。

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。