DSP市場でGoogleを捉えたAmazon。アドテク市場で成功できるのはビッグプレイヤーだけなのか?

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アドテクという産業の未来が極めて暗いことが、少しずつ浮き彫りになってきています。以前、GoogleとFacebookによる二極化したデジタル広告市場に一矢を報いるプレイヤーとしてThe Trade Deskの動きをご紹介しましたが、今回はAmazonがその影響力を強めている「DSP市場」について見てみましょう。成功には素晴らしいアドテク技術だけではなく、「一般ユーザーに対する直接的かつ大きいリーチ」と「広告主から引き合いが来るメディアであること」が前提条件になってきていることがわかります。

Amazon
画像:Understanding Amazon as an Advertising Platform – eMarketer

デジタル広告企業という視点で語られることは多くないAmazon。しかし、eMarketerによる同社の2017年デジタル広告売上予測は16.5億ドルとなっており、Google(350億ドル)やFacebook(173.7億ドル)と比べればシェアは小さいものの、今年でTwitterの広告売上(12.1億ドル)を越えると見られています。

また、Advertiser Perceptionsが700を越える広告バイヤー(ブランドおよび代理店が約半数ずつ)を対象に行った調査の結果、Amazonの広告プラットフォームAAP(Amazon Ad Platform)が、DSP市場におけるGoogleのDBM(DoubleClick Bid Manager)の唯一のライバルとなっていることがわかりました。代理店におけるAAPの採用率はDBMと同じ37%になっている一方で、ブランド広告主の採用率はAAPが44%、DBMが35%とAmazonがGoogleを大きくリードしています(FacebookはDSPを提供していないため当調査の対象外)。

代理店において昨年から採用率を保てているDSPはThe Trade Deskのみで、平均的なDSP採用数自体は3.1から2.9へと減少しています。たった0.2ポイントの減少ではありますが、AAPとDBMがマーケットシェアを伸ばし続けていることを考慮すると、代理店およびブランドにとってAmazonとGoogle以外のDSPは、実質1ついるかいらないかという状況になっていることがわかります。

Advertiser PerceptionsのCSOであるKevin Mannion氏は、大半のマーケターがGoogle以外のDSPを使うことで”壁に囲まれた庭(Walled Gardens)”を崩すチャンスが残っていたところに、Amazonというビッグプレイヤーが入ってきている現状は、DSP市場の他の小さなプレイヤーにとって歓迎できるものではない、という見解をAdExchangerにて伝えています。

実際、顧客への認知が低く、提供している価値や市場でのポジションをうまく伝え切れなかったため、多くの「単なる」アドテク企業がこの10年ほどで華々しくデビューを飾っては総崩れになっています。アドテクカオスマップを作ったLuma PartnersのCEOであるTerence Kawaja氏は、アドテクの歴史を振り返りながら今までの会社を下記のように分類しています。

  1. ネットワーク1.0:広告掲載の申込は手動対応。CPMで広告を販売し、メディアをアービトラージ(サヤ取り)して収益を挙げる。
  2. ネットワーク2.0:先行者と同じクオリティを保ちながらCPMではなくROIを訴求する。
  3. プログラマティック:広告のトランザクションをリアルタイムかつ自動化された状態で行い、技術はセルフサービス型で提供。メディアを通過点として扱い、収益はメディア費から数%、取引手数料、使用料といった形で生み出す。
  4. SaaS(Software as a Service):アドテク企業でないことが多い。技術をセルフサービス型で提供し、月額課金のサブスクリプション方式で販売。メディアからは収益を挙げない。

これまで上記1と2は淘汰されてきました。特に「1から3」や「2から3」への移行がうまくいかなかった会社は「プログラマティックへの移行が遅れた」と説明されてきましたが、今後プログラマティック単体では事業として成り立ちにくいでしょう。このような状況でシェアを落としていないThe Trade Deskは、プログラマティックは当然のことながら、SaaSモデルにも強く、この形であれば成功し続ける可能性があると言えそうです。

参考:
Home – Advertiser Perceptions

Understanding Amazon as an Advertising Platform – eMarketer
DSPs In A Tight Spot As Amazon, Google And In-Housing Make Gains | AdExchanger
The Great Ad Tech Cleanup | AdExchanger

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