広告主の間で高まり続けるブランドセーフティへの危機感。YouTubeの取り組みは事態を改善できるのか?

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アメリカやヨーロッパと比べて日本国内では大きな話題になっていませんが、GoogleによるYouTube上の不適切動画への対応に関する進捗が先週火曜日に発表されました。取り組み自体は成果を上げているようなので評価できる一方、不適切なコンテンツを100%発見することは難しく、YouTubeに対する広告主の目は未だ厳しいのが現状です。

YouTube Blog
画像:Official YouTube Blog: An update on our commitment to fight violent extremist content online

Googleの相談役であるKent Walker氏は今年の6月、ブランドセーフティの観点からYouTube上にある暴力的な過激派によるコンテンツへの対応のために

  1. より多くのエンジニアリングリソースの割り当て
  2. 細かなニュアンスを判断するためにレビューを行うエキスパートの増員
  3. 扇動的な宗教または至上主義に関するコンテンツへの広告配信の停止
  4. イスラム国への参加志願といった過激化潜在層への対応強化

を行うことを発表しました。現在までに100万を越える動画を手動でレビューし、不適切なコンテンツにフラグを立てる技術の精度改善は順調に進んでいるようです。

YouTubeはその実績として、先月削除した不適切なコンテンツの83%が、自動で検出されたとしています(8月時点では75%)。とはいえ、未だに不適切であると判断された動画の17%が手動で発見されていることを考えると、広告主としては満足できる数字ではありません。

機械学習によるブランドセーフティへの対応強化のためのエキスパート増員に関しては、ヘイトスピーチや過激化、テロといった複雑な問題に関する専門的な知識を持つ35のNGO団体を参加させ始めたと伝えています(Googleは今後さらに15グループを参加させる予定)。

不適切な動画を劇的に減らすことは可能とはいえ、ユーザーが莫大な量のコンテンツを日々アップロードするというCGMメディアの性質上、ブランドセーフの精度を100%にすることは難しく、どうしてもイタチごっこな部分が残ってしまいます。

それに、Googleが努力をしても広告主の反応はなかなか厳しい状況です。

ブランドセーフティへの懸念から、ベライゾンやジョンソン・エンド・ジョンソンといった大手ブランドがYouTubeへの出稿をやめていく中、JPモルガン・チェースのCMOであるKristin Lemkau氏も、YouTubeはブランドセーフティのために十分な対策を取っていないとして、”広告主としての基準”が守られていると確信できるまで広告出稿をカットし続けることを、6月にフランスで開催されたカンヌライオンズで表明しています。

Lemkau氏は、広告出稿を行う全てのチャネルとクリエーターは完璧にチェックされる必要があり、そのためであればプレミアム価格を喜んで支払うという広告主としての姿勢を明確にするとともに、現在YouTube上でクリエーターがマネタイズを始めるための基準の低さ(総視聴回数10,000回)に懸念を表明しています。それほどブランドセーフへの危機感が強いということです。

自分たちの基準を守りたいYouTubeが、JPモルガン・チェースのような広告主の基準を完全に満たすのは難しいかもしれません。

また、(YouTubeに限ったことではありませんが)広告関連の技術が急激に進化している中で適切な判断を行うために、CMOが知らなければならないことは劇的に多くなっています。Lemkau氏もデータをしっかりと理解し、広告の効率を改善するために、仕事の1/3から1/2の時間を社内でブランディングに使われているテクノロジーの把握に当てているようです。

同氏が「今ではCMOは技術者でなければなりません。テクノロジースタックを理解し、メディアプランナーかつメディアバイヤーとして機能しながら、様々なバージョンのクリエイティブへ判断を下していかなくてはなりません。マーケターにとって、そして業界全体にとって、このスピードについていくのは本当に大変です。」と伝えている通り、今までよりも多くの時間を費やして、技術やデータへの理解を深める必要があることは間違いありません。

参考:
Official YouTube Blog: An update on our commitment to fight violent extremist content online

Four steps we’re taking today to fight terrorism online
YouTube: We’ve manually reviewed 1M+ videos to improve brand safety processes
Chase’s CMO Says YouTube Isn’t Taking Enough Steps to Control Brand Safety – Adweek

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