クロスデバイスにおける「正確なターゲティング」と「広範なリーチ」のトレードオフは解消できるのか

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AdExchangerが主催するアドテクイベント「Industry Preview 2016」が、先月20-21日にニューヨークにて行われました。今回は、その中でも気になる「プラットフォームのリーダーとその他のプレイヤーが、どのようにすれば”壁に囲まれた庭(Walled Gardens)”を乗り越えられるのか」について簡単にまとめてみます。

Industry Preview 2016
画像:Industry Preview 2016

GoogleやFacebookといったビッグプレイヤーはそれぞれの事業エリアにおいて絶対的なポジションに君臨していますが、広告主のマーケティング全体における計測やターゲティングといった観点から見れば、まだまだ改善が求められる状況です。Industry Preview 2016においても、様々なスピーカー達が、各プレイヤーの持つデータがブランド企業にどのような価値をもたらすのかについて議論を重ねていました。

例えば、Facebookは同プラットフォームにおいて動画再生80億回/日を達成したと伝えています。しかし、広告主/代理店からすると(ビューアビリティも含めて)Facebookの動画広告がどれだけブランド広告として効果的なのかに関しては、不透明な部分が残っています。そのような状況を受けてか、Facebookのグローバル・エージェンシー開発のディレクターPatrick Harris氏は、代理店が動画への広告予算を増やすために「どのようなデータを必要としているのかを理解すること」が、2016年の優先事項の1つであると伝えています。

また、「”壁に囲まれた庭”を持たないプレイヤー達は”確率的メソッド”によって、Facebookの”決定的データ”によるターゲティングに対抗しようとしている」と語っていたのはDrawbridgeのCEOであるKamakshi Sivaramakrishnan氏(”確率的(probabilistic)データ”および”決定的(deterministic)データ”の利用に関しては、以前お伝えしたOracle Data Cloudの記事を併せてご覧ください)。

Sivaramakrishnan氏は、「(FacebookやGoogleのような”壁に囲まれた庭”を持つ)ビッグプレイヤーでさえ、スクリーンやマーケティングチャネルを越えて、ユーザーを完全に特定することはできていません。アドテク業界はこの状況を”ソリューションとして十分に正確で実行可能なアルゴリズムを開発するチャンス”と捉えて欲しいです」とコメントしています。

そもそも、広告主にとって必要なのは正確なターゲティングなのでしょうか。それとも広範なリーチなのでしょうか。

もちろんどちらも欠かすことは出来ませんが、「トレードオフの関係にある精度とリーチの間で、マーケターは今までリーチに重きを置きすぎてきました」と、Oracle Data CloudのSVPであるOmar Tawakol氏は伝えています。実際(正確性よりもリーチの方がわかりやすい指標のため)大半の場合、広告主はベンダーをリーチで評価しているのが現状です。

Facebookが同社の持つ”決定的データ”によって複数のデバイスを1人のユーザーにリンクさせていたとしても、他のクロスデバイスベンダー達は”決定的データ”を保有しておらず、”確率的データ/メソッド”を利用せざるをえません。もちろん広告主はファーストパーティデータを組み合わせることもできますが、そこでもスケールが問題になります。そして、”確率的メソッド”において、統計的アルゴリズムによってマッチングがなされている以上、リーチを拡大しようとすれば、その分、精度を犠牲にせざるをえません。

広告主/マーケターが正確性よりもリーチを優先し続ける限り、ベンダーはその要求に応え続けることになります。とはいえ、データ精度とボリュームは必ずしもトレードオフであり続ける必要はありません。Tawakol氏は、広告主/マーケターがトレードオフの関係を理解した上で、うまく”確率的データ”と”決定的データ”を組み合わせることが大切だと伝えています。

AdobeのモバイルVPであるMatt Asay氏が「私たちが協業している企業は全て、素晴らしいファーストパーティデータとともにサードパーティデータへのアクセスも確保しており、セカンドパーティデータを創り出すサポートをすることが増えています。しかし、ブランド企業として消費者を考える上で最も大切なことは、どの広告を見せるかではなく、どのような経験を提供できるかということです。」と伝えている通り、広告主/マーケターとして、リーチだけを追って結果として消費者をうんざりさせたり、プライバシーが侵害されていると感じられるキャンペーンを行ったりしないようバランスを取ることが求められています。

参考:
Industry Preview 2016

Industry Preview 2016: For Platform Leaders, Getting Over Their Own Walls Is A Growing Concern | AdExchanger
Industry Preview 2016: What Marketers Need To Understand About Cross-Device Reach And Accuracy | AdExchanger

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