パブリッシャーに迫られる決断?2016年アドテク目玉の1つ「ヘッダー入札」CPM300%アップの事例も

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今年の7月に当ブログでも紹介した「ヘッダー入札」。簡単にまとめると、デジタル広告取引の”非効率”をカットし、バイヤーがベストな広告枠へアプローチすることを可能にしつつ、パブリッシャーの広告枠に対して適性な値付けを行うためのソリューションですが、このヘッダー入札がこれから2016年にかけて最もホットなトピックの1つになりそうです。

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画像:MarTech Landscape: What Is Header Bidding — And Why Should Publishers Care?

ご存じの通り、現在パブリッシャーの広告枠の利用は、まずアドサーバーからサイトのセールス担当によって広告主に直販された枠へ広告配信されるところから始まります。残った広告枠はアドサーバー(多くの場合GoogleのDoubleClick for Publishers 以降DFP)を通じて、”トップランク”のアドエクスチェンジに放出され、そこで売れ残った広告在庫はさらに次のアドエクスチェンジへと流れていきます。

このように広告枠を”レイヤー化”し販売する仕組みを”ウォーターフォール型”と呼びますが、このウォーターフォール型の広告販売において非効率の原因となっているのが「アドエクスチェンジのランク付け方法」と「Googleの実質支配」です。

ランク付けは往々にして「買い付けボリューム」をもとに行われますが、大口顧客が必ずしも広告枠に対して一番高い値をつけるわけではありません。また、DFPを利用しているパブリッシャーの多くは、AdX(DoubleClick Ad Exchange)が最終入札の権利を持ち、ウォーターフォールでの落札価格を少し上回った額での入札を可能な設定にしているため、AdXが”特権”を持った状態となっています。

前回の記事でもウォーターフォールによる”無駄なオークション”によって、パブリッシャーが広告枠単価の下落を防いでいることはお伝えしました。しかし、現状のままではパブリッシャーの広告枠が実際にどれだけ価値があるのかわからず、またパブリッシャーがGoogleのエコシステムの中でウォーターフォールを続ける限り、”純粋な”オークションによって得られるはずの適正な入札価格を得られていない可能性は否定できません。

そこで注目を集めているのが「ヘッダー入札」です。ヘッダー入札によって、全ての入札者が同時に入札を行うことが可能になります。パブリッシャーはサイトのヘッダーにJavaScriptを埋め込むことで、ページが読み込まれた際、アドサーバーをコールする前に、アドエクスチェンジまたはSSPに入札リクエストを送ります。入札は順番(直販枠優先)ではなく同時に行われるため、直販された枠の残りだけではなく、全てのインプレッションに対して行うことが可能になります。また、パブリッシャーはヘッダー入札による入札価格と直販での販売価格を競争させることも可能です。

実際にヘッダー入札によってCPMが上がる事例も少しずつ増えてきています。Rubicon Projectは20のパブリッシャーと、モバイルアプリで同社のFastLane SDKを利用したヘッダー入札をテストし、CPMが最高で300%アップしたと伝えています(Rubicon Projectは同製品を来年のQ1により多くのパブリッシャーに展開予定)。

Rubiconのモバイル責任者Joe Prusz氏は「モバイルはエクスパンド、リッチメディア、インタースティシャル、ビデオなどが全て1つの広告スロットに配信されます。ある広告主が(そのスロットに)標準的なバナーをCPM1ドルで出稿しようと考えている一方で、動画キャンペーンのためにCPM15ドルで出稿しようという別の広告主がいる可能性があるのです。」とし、モバイルアプリ内の”間違った”ウォーターフォールによって起こりうる損失の可能性を指摘しています(Prusz氏は、広告スタックをアップデートするためには、ユーザーにアプリのアップデートをしてもらう必要があるため、デベロッパーは頻繁にウォーターフォールの編成を変えることを避けるとしています)。

GoogleのプロダクトマネジメントディレクターJonathan Bellack氏は、11月に行われたIABのコンファレンスにおいて、ヘッダー入札によるページ読み込みの遅延を懸念している旨を何度も主張していました。しかし、AppNexusのパブリッシャー戦略SVPであるTom Shields氏は、ヘッダー入札が必ずページ読み込み時間を長くするという意見を否定している状況です。

技術革新の過程に不確定要素はつきものですが、いずれにせよ、ヘッダー入札を行うにあたってパブリッシャーの運用および技術面における大きな変化が必要なのは間違いありません。どのタイミングでどのような判断をするのか。2016年に向けてパブリッシャーは大きな決断を迫られていると言えそうです。

参考:
MarTech Landscape: What Is Header Bidding — And Why Should Publishers Care?

How Will Consultants, Header Bidding And Agencies Fare In 2016?
Rubicon Project Beta Testing Header Bidding For Mobile Apps | AdExchanger

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