失敗したのになぜ?GoogleやTwitterも提供する「購入ボタン」にFacebookが再挑戦する理由はメッセンジャーにあった

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広告をクリックすると、その場で商品が買える「購入(BUY)ボタン」。ユーザーにとっては欲しいものがすぐに手に入るため便利であり、広告企業にとっては広告効果が高くなる(=広告売上アップが見込める)ため、GoogleやTwitterなど、多くの広告プラットフォームでその導入が進んでいます。

しかし、在庫システムとの連動に関する問題(特に大手小売企業)や、ユーザーのオンライン決済に対する不信感、また、小売企業による「広告企業に顧客接点を奪われることで、倉庫や配送パートナーに成り下がってしまうのではないか」という不安など、多くの課題も存在しています。

そんな中、過去に「購入ボタン」の導入に失敗したFacebookが、他のプラットフォームとは違った”ゴール”を目指して、着実に動き始めているようです。

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画像:Facebook for Business

Facebookは、2009年に同プラットフォーム上における商品販売機能を提供し始め、2011年にはGameStopやGap、J.C. Penney、Nordstromといった大手小売ブランドが、その機能を利用したFacebook販売ページの運営を開始しました。しかし、一般ユーザーはFacebook上ではなくブランドサイト上でのショッピングを好んだため、Facebook上の販売ページは、全て1年以内に閉鎖するという結果になりました。

しかし、昨年の夏からFacebookは新たなテストを開始し、2015年7月、Facebookは再び「購入ボタン」を発表します。Facebookの広報担当者は「これから数週間でより多くの企業にテストを拡大する予定ですが、当面は小さく進めていきます」とコメントしていました。

実際、6年前と比べて、eコマース市場は大きく拡大し、ユーザーによるモバイル端末でのショッピングは一般化してきています。その結果、Facebookだけでなく、Google、Pinterest、Twitterなどが「購入ボタン」機能をこの一年で提供するようになりました。

一般的に、スマホユーザーは広告をクリックしても、クリックした先のモバイルサイトの使い勝手が良くないため、購入せずに離脱することが少なくありません。その結果、広告効果(コンバージョン率)は下がり、最終的に広告主の広告予算も少なくなってしまいます。

そこで、ユーザーを使い勝手の悪いサイトに飛ばすのではなく、その場で購入できる機能を提供することで広告効果を高めるためのソリューションが「購入ボタン」です。

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画像:Facebook ecommerce – Business Insider

また、Facebookが失敗した6年前とは違って、現在、消費者はスマホ(のアプリ)で多くの時間を過ごしています。Forresterの調査結果(上図)によると、Facebookは、米国消費者がモバイルアプリで使う時間の13%のシェアを持っていると言われています。

ユーザーが多くの時間を過ごしているということは、特に自社製品の露出を限られた予算で最大化したい中小企業にとっては、”Facebookストア”を利用することは理にかなっているといえるでしょう。Facebookが今回の「購入ボタン」のテストを米国の中小企業からスタートしている点から見て、この機能自体が、中小の小売ブランドをターゲットにしていることは間違いなさそうです。

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画像:Facebook ecommerce – Business Insider

さらに、PYMNTSによる調査によれば、Facebook上で決済をすること(オンライン/モバイル)に肯定的なユーザーは、Amazonの50%/44%に比べて、どちらも5%とかなり低い数字になっています。

・小売企業の在庫システム連動を考えると「購入ボタン」のスケールは難しい
・そもそもユーザーはFacebook上でショッピングしたいわけではない
・ユーザーはモバイルアプリ(Facebookは全体の13%)で多くの時間を過ごしている
・Amazonなどと比べて、ユーザーはFacebook上で決済することに前向きではない

これらの要素に加え、Facebookが「購入ボタン」利用によるトランザクションや、企業のFacebookページ作成に課金していないという状況から見て、Facebookが「購入ボタン」の先に狙っているのは、Facebookメッセンジャーからの課金ではないか、とBusiness Insiderは伝えています。

Facebookはちょうど今月、企業がユーザーとメッセンジャーを利用して、プライベートなコミュニケーションを取れる機能を発表しました。「購入ボタン」を通じて、ユーザーが企業のFacebookページから商品を直接購入すれば、そのブランドとユーザーがそこからコミュニケーションを始めるというシナリオは十分に考えられます。

つまり、無数の中小ブランド企業がFacebookページの販売機能を利用することで、(あまり大きな売上は見込めませんが)企業側は消費者への露出とコミュニケーションの機会を得ることができ、Facebookはメッセンジャーの成長と安定を手にする可能性があります。

「メッセンジャーはユーザーと企業の一般的なコミュニケーションツールになるまでマネタイズしない」と言ってきたFacebookですが、ついにその時期が近づいてきているのかもしれません。

参考:
Facebook ecommerce – Business Insider

Facebook for Business
Facebook buy button – Business Insider
Why ‘Buy’ Buttons Will Pose Big Challenges for Google, Facebook, Pinterest and Twitter | Re/code

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