プログラマティックに乗り遅れるな!動画アドネットワークYuMeが直面している課題

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前回記事「採算度外視のアドテク企業に赤信号。これからのVCがスタートアップに期待すること?」でも少しご紹介しましたが、IPOを行った後に株価が下がり続けるアドテク企業の一つであるYuMe。初期から動画アドネットワークを提供してきた同社CEOのJayant Kadambi氏と、パートナー企業関係者(匿名)が、YuMeの現状についてそれぞれAdExchangerへコメントを寄せていますが、YuMeが厳しい状況に立たされていることには間違いなさそうです。

Yume
画像:YuMe. Multi-Screen Digital Video Advertising

2014年のYuMeの売上は1.78億ドルで、前年比18%増でした。粗利も2014年には1500万ドル増加しましたが、それ以上に営業経費が2300万ドル増加しています。また、2014年Q4を見ると、YuMeは前年同期比で6%の売上増(5746万ドル)となっています。ちなみに昨年Q2に黒字転換しているTubeMogulの2014年Q4の売上は64%増(3608万円)、時価総額は4.25億ドルとなっています(YuMeは1.73億ドル)。

「世間はAmazonへ移行しているのにもかかわらず、YuMeは昔ながらの書店を営んでいるかのような、そんな懐疑的な風潮が、メディアや投資家の間に少し出てきているようですね。初期の動画アドネットワークが直面している課題の1つは、需要供給の両側におけるエンド・ツー・エンドの環境構築であり、確かにそれは難しいものです」とAdExchangerに語るYuMeのCEO、Kadambi氏。

「YuMeがプログラマティックになりたくないと言っている人もいるようですが、そういうわけではありません。広告主が望むのであれば、プログラマティックでも直接交渉でもよいのです」としているものの、プログラマティック・ダイレクト(在庫予約型の固定単価取引)を提供するためにはエンド・ツー・エンドの環境構築が必要となり、それは同社の抱える問題の核心を突くものでもあります。

また、YuMeがオーディエンス・ターゲティング・プラットフォームのVideo Reachを発表して1年以上が経ちますが、プログラマティック取引での売上は上がっておらず、業界関係者は需要側であれ供給側であれ、YuMeがプログラマティック機能を提供するのは難しいのではないかと、直近の収支報告を受け疑問を抱いています。

Varick Mediaのプロダクト戦略VPであるJim Caruso氏は、YuMeと働いてみたものの、セルフサービス型のUIがないことがインテグレーションを難しくしており、「YuMeのセルフサービス型プラットフォームはまだクローズドベータである」とコメント。また、匿名による複数のパートナー企業関係者からは、YuMeのプラットフォーム技術をベイパーウェア(概要は発表されたものの開発段階であったり開発が遅れていて実体のないもの)と揶揄する声や、「もしYuMeがVideo ReachにDSPを持っているとしても、私は聞いたことがありません」といった声も聞かれ、YuMeへは向かい風が吹いています。

問題は技術面だけではありません。ブランド広告主向けのデジタルオーディエンスへリーチすることに焦点を当てているYuMeですが、広告の質にも取り組む必要がありそうです。

別の匿名の情報筋は「6ヶ月間ほど、YuMeから自動配信メールで、彼らが提携している全てのパブリッシャーリスト(売上とCPM情報含む)が送られてきていました。あまりプレミアムパブリッシャーは多くなかった、とだけお伝えしておきます。また、(Tremorもそうですが)8年に渡ってYuMeの基盤となるテクノロジーは変わっていません」とAdExchangerにてコメント。

Tremorのような競合の動画アドネットワークは、パブリッシャーとのパートナーシップを増やしたり、ビューアビリティ計測を導入したりと、プログラマティック取引移行のためのギアチェンジに取り組んでいます。さらに、LiveRailを買収したFacebookや、ブランドリフト効果を発表したGoogle Preferredなどを見ていても明らかですが、ビッグプレイヤーによる動画関連のアドテクノロジーへの投資は今後、さらに勢いを増していくでしょう。

YuMeが「プログラマティック取引を提供するプラットフォームをつくれるかどうか」という能力の点を大目に見ても、ここから先の戦いはかなり厳しいものになりそうです。

参考:
YuMe. Multi-Screen Digital Video Advertising

YuMe – YuMe Reports Fourth Quarter and Full Year 2014 Financial Results
TubeMogul Financial Result Fourth Quarter Full Year 2014 | TubeMogul
YuMe Struggles To Reinvent As Programmatic Video Takes Hold – AdExchanger
Still No Programmatic Revenue For YuMe – AdExchanger

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