広告予算70%をプログラマティックに?世界一の広告主P&Gが語るデジタルから始めるブランド構築とは

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ForresterとANA(Association of National Advertisers)の調査より、2014年Q1の段階でプログラマティック広告取引は米国のデジタル広告量の約40%を占めていること、そして昨年6月に世界一の広告主企業であるP&Gが「年末までに米国内のデジタル広告費の70-75%をプログラマティック・バイイングにしたい」と表明していることについて、過去記事(ここから加速?米国ラジオ広告プログラマティック取引への移行)でも少しお伝えしていました。今回はプログラマティック広告取引に対して、P&GのCMOであるMarc Pritchard氏が現状どのような見解を示しているのかをご紹介いたします。

Procter  Gamble
画像:PG.com Home: sustainability, company, brands

「プログラマティック・バイイングは避けられないことであり、マーケティング業界にとってはポジティブな進歩です。プログラマティック広告取引によって、有益な価格でより正確にターゲティングができ、そのおかげで十分な結果を得ることができます。」と語るPritchard氏。

とはいえ広告配信自動化の傾向の中で「Ad Fraud(広告詐欺)」や「ビューアビリティ(広告が見られたかどうか)」、パブリッシャーから代理店が受け取る違法なリベートなど、サプライチェーンの中で早急に解決すべき問題もたくさんあります。

※Ad Fraud(広告詐欺)に関しては、過去記事(日本にも上陸間近?米国で白熱するAd Fraud(広告詐欺)対策状況を見てみよう)も併せてご覧ください。

可能性とともに未だ多くの問題を抱えるデジタル広告市場の中で、P&Gは「デジタルからアプローチすることによるブランド構築を行い、しっかりとその恩恵を受けています。」と話すPritchard氏。直近では今年の2月、デジタルで大反響を得ていたAlways(女性衛生用品ブランド)の「”Like A Girl(女の子らしく)”キャンペーン」の3分超の動画を60秒に編集し、それをスーパーボウルで流した結果、USAトゥデイによるCM人気ランキング(Super Bowl Ad Meter)にて2位を獲得していることでも注目を集めていました。

そんなP&GのPritchard氏に対して、AdExchangerが行ったインタビューをダイジェストでご紹介いたします。

P&Gはどのように計測アプローチを進化させているのですか?

Pritchard氏:私たちは内部および外部パートナーと協力しながら、売上につながる行動に対しての正確なアトリビューションをどのように把握するかを模索しています。また、全てを計測しようとはせず、結果にフォーカスをあてるようにしています。

私たちはいつも何かしらの形で解析を行い、消費者の行動を理解しようと努めてきました。そのおかげで消費者にとって価値のあるブランド、製品、アイデアを生み出すことができるのです。ありがたいことに、現在はより多くのデータを使用することができるので、より詳細な解析を行うことができるようになっています。

そのデータというのはP&G社内のみに存在するものですか?それともパブリッシャーやパートナー、代理店にも共有されていますか?

今までもそうでしたし、これからもそうだと思いますが、サプライチェーンのステップの中で得られるものです。テクノロジーの進化は本当に速いので、様々なパートナーやプラットフォームを利用して、異なるアプローチに取り組むのがより懸命だといえるでしょう。

P&Gにとってファーストパーティデータはどのような役割を担っていますか?

戸別訪問を行って消費者に質問をするマーケットリサーチを行っている頃から、ファーストパーティデータを保有しています。私たちは消費者の普段の行動や習慣といったものを理解するために、ファーストパーティデータを使っています。それは私たちが企業として深くコミットしている部分であり、顧客を理解すること、つまりファーストパーティデータからインサイトを得て、より効果的にターゲティングを行うアイデアとチャンスを創り出すことが、P&Gの強みの1つでもあります。

多くの新しいデジタルマーケティングチャネルは、まずオーディエンスが集まり、そこから広告予算が流れる仕組みになっています。オーディエンスはいるものの、まだ広告予算が流れていないようなチャネルに対して、どのようなアプローチをされていますか?

実験を行い、消費者が引きつけられていくプラットフォームであるかどうかを確認するようにしています。それが実際にFacebook、Google、YouTube、Instagramで行ってきたことです。

スマートTVに関してはどのような対策を取られていますか?

あまり手の内を明かすわけにはいかないのですが、「セグメント化されたTV視聴者への広告配信」「プログラマティック」「自動化」への流れは避けることができないので、興味を持っていますし、これからパートナーと協力してどのように活用できるかを見ていこうと思っている、というのが答えになります。

昨年、P&Gの広告予算のうち「70%をプログラマティック取引にすることがゴールである」と伝えられていましたが、その点はどのような状況ですか?

明確なゴールとして表明していたわけではなく、可能性という点で言及していました。実際にプログラマティック取引は消費者にとっての価値を生み、パブリッシャー、そして広告主やブランドにとっての価値へとつながっています。また、プログラマティック広告取引によって、有益な価格でより正確にターゲティングができ、そのおかげで十分な結果を得ることができます。

Facebookのオーガニックリーチ減少にあたって、何か戦略の変更を行いましたか?

いいえ。というのも、ここで大切なことはしっかりターゲティングされたクリエイティブをつくることだからです。それが消費者にとっても企業にとってもより良い価値を生み出します。消費者が気に入るクリエイティブであれば、それはシェアされ、結果としてアーンドメディアは付いてきます。

Ad Fraud(広告詐欺)やビューアビリティなどに対してはどのようなアクションを取られていますか?

何よりも大切なことは、全ての観点から顧客体験に焦点を当てることです。つまり、消費者をターゲティングするのであれば、彼らが見たい時に見たいと思う広告・コンテンツを配信し、結果として売上につながる状況をつくりださなければなりません。

その他の部分は選ぶパートナーとオペレーションの方法でしょう。私たちは何も隠していないし、パートナー達も同じように透明性を保っています。それがエコシステム全体に必要なことです。

プロセス内の指標やテクノロジー、トランザクションといったことにこだわり過ぎてしまうと、消費者にとって価値を生みだすことが一番大切であることを忘れてしまいます。消費者にとっての利便性は何かを考え、それに取り組み、結果として売上につながる。その他の部分は放っておけば何とかなります。

ピュブリシスのRishad Tobaccowla氏が先日、FacebookやGoogleによる広告主の囲い込みに関して言及していました。囲い込みの傾向に対して、P&Gのブランドはどのような対処をしていますか?

囲い込みの問題とそれに対する議論はこれから数年間続いていくでしょう。市場には多くのデータがあり、それらを利用することでどのように消費者にリーチし、エンゲージ出来るかを理解することができます。問題はどうやって「公開されている情報」、「囲い込まれている情報」そして「ファーストパーティ情報」の3つをうまく活用するかということです。データが存在しているのであれば手に入れられる情報源から取得し、情報が囲い込まれているのであれば、パブリッシャーと協業してデータを取得する、もしくはパブリッシャーの提供できる機能に基づいて一定レベルのターゲティングを行うことで対応しています。

マーケターとしてついつい新しいテクノロジーやバズワードに目を奪われてしまいますが、大切なのは「まず消費者のことを考える」というシンプルなこと。計測および可視化できるプログラマティック広告の可能性を、全世界での広告予算が約85億ドルと言われる世界一のCPGブランドが見据えて動いていることは、業界全体にとって大きなインパクトです。

また「(消費者のことを考える以外の)その他の部分は放っておけば何とかなります。」と言いつつも、ANAのカンファレンスでPritchard氏は「見られていないインプレッションとは何でしょう?そんなものになぜ広告主がお金を払わなければならないのでしょうか?」と、ビューアビリティの問題に言及するなど、広告テクノロジーの普及と啓蒙だけでなく改善にも取り組んでいます。

P&Gの競合であるユニリーバは現在のデジタル広告パフォーマンスに懐疑的ではありますが、それでも今後CPGブランドによるプログラマティックへの移行は進んでいくと見て間違いないでしょう。後はAd Fraud(広告詐欺)やビューアビリティの問題をいかに解決していけるかにかかっています。

 

参考:
PG.com Home: sustainability, company, brands

ANA/Forrester Survey Reveals Growing Demand for Programmatic Buying Education | About the ANA | ANA
Procter & Gamble Aims to Buy 70% of Digital Ads Programmatically – Advertising Age
Procter & Gamble CMO Pritchard: Programmatic Delivers Business Lift – AdExchanger
The 10 best Super Bowl XLIX commercials, according to Ad Meter | Super Bowl XLIX Ad Meter
P&G Cuts Marketing But Tries to Maintain Media | CMO Strategy – Advertising Age
Why Look at Ratings When You Should Measure Sales, Says P&G | Media – Advertising Age
Unilever Sets Higher Online Viewership Standards | Digital – Advertising Age

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