これを読めば位置情報の使い方がわかる!?最新米国動向まとめ(前編)

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米国のネット広告業界団体である米IABが、位置情報をどうマーケティングに活用するかについて、世の中に存在する多様な手法をまとめて公開しました。まだ日本では知られていない手法も多いはずです。
これまでの位置情報というのは主にターゲティング目的として扱われることが多かったですが、今回IABがまとめたのは、位置情報を広告効果測定やデバイスを横断したアトリビューションを行う方法についてです。私たちがこれまで親しんできたPCでの”コンバージョン”というものは、自社サイトに計測タグを設置しておいて、ユーザーがそのページを踏んだらカウントされるという、極めて単純な方法でした。ところが、たとえば広告を見て実店舗に来店した人をカウントするのはどうすればよいでしょうか?そもそも「来店した」ってどう定義・計測したらいいの?どう計算すれば効果が良かったと言えるの?と、深く考え始めれば悩みはつきません。そこで今回は、IABの整理をベースに手法をおさらいしてみましょう。

1. 位置情報をどう取得するか

まず、位置情報はデータを取得しなければ始まりません。IABが整理したのは以下の2つです。
  1. 緯度経度付きの広告インプレッションを取得する
  2. アプリから緯度経度を取得する
広告インプレッションからの位置情報は、その広告が設置されているアプリやWebサイトを見ている瞬間にしかデータが飛ばないため、ユーザー単位の時間軸で見るとデータが細切れです。ユーザー行動が正確に読めないわけですね。一方でアプリから緯度経度を取得する場合、ユーザーの位置情報は長期間に渡って取得することができますが、まずはアプリをインストールしてもらい、かつ位置情報のバックグラウンドでの送信をオプトインしてもらわなければならないため、ユーザーの絶対数が少ないという一長一短があります。
本レポートにおいて、米国では2014年には68%の広告リクエストには精緻な緯度経度データが付いているとされていますが、日本ではほぼ0%に近い状況だと思われます。また、アプリでも位置情報データは取得は可能なものの活用する術がなく、データを保存していない企業がほとんどではないでしょうか。ただ、広告でもアプリでも具体的な活用方法が出てくれば一気に状況が変わるとも言えます。

2. 場所(店舗)をどう認識させるか

次に、ある場所に何(例えばどんなお店)があるのかを認識する必要もあります。本レポートでは、お店の中心点からの半径や、お店の建物の外周のポリゴン、モニタを利用してチェックイン等を利用してデータを検証する、といった手法が紹介されています。
ただし、日本の場合は調査員が日本全国津々浦々を歩いて調査して地図を作っている企業も古くからあるため、自社で工夫するよりはデータを購入したほうが早いかもしれません。

 3. 屋内位置データを使う

本レポートを意訳すると次のように述べらています。
“NFCは広く小売で浸透し、Beaconはアーリーアダプターの小売ではプロモーションやリマインダーなどのプッシュ用途で使われている。それだけでなく、これらは消費者の購買までの経路を知るために非常にパワフルなもののだ。たとえば、特定の広告クリエイティブを配信した人が、ある商品のある通路にどのくらい滞在したか、といったようにリアル世界での行動に広告表示やエンゲージメント測定をリンクさせることができる。”
たとえば、チョコの動画広告を見た人がチョコレートのある棚の前に行ったかどうかも原理的には計測可能なのです。
これまではユーザーにプッシュするためのツールであったBeaconが、分析や効果測定のためのツールにもなってきています。cookieがそもそもはブラウザにIDなどの情報を記録するためのものだったのが、次第に広告系に利用されるようになってきたのと同じ流れとも言えます。ただし、cookieがユーザーIDそのものなのに対して、Beaconは単にあるユーザーが特定の位置に近づいたという情報だけなので、そこはきちんと理解しておく必要があります。

4. 位置情報データ付き取引データを活用する

自社でPOSデータなどを持っていない場合、サードパーティーのクレジットカードやポイントカードから匿名のデータを提供してもらい、広告によって売上が上がったかどうかを判断できます。また、POSレジのデータやモバイルクーポン、電子マネーなども位置情報と結びつけることで顧客の購買行動をより深く学べるとしています。
ここで気になる記述は「広告ROIの計算のために、代理店やテクノロジー会社にオフライン売上データを進んで提供する小売店が増えている」と言っている点です。技術は持っているもののデータが無いために効果的な施策を打てなかった代理店やテクノロジー会社と、自社では技術を持ち合わせていない小売店が協力することで、小売の進化がはじまっているのかもしれません。
その他、今回は省略しますがサイネージ(OOH)やスマートTV(addressable TV)についても、位置情報が重要であるとしています。
では、どうやって広告効果測定をするのか、という話は後編(後日公開)でご紹介します。
参考:
http://www.iab.net/locationroi
http://www.iab.net/iablog/2015/02/closing-the-loop-with-location-data.html
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大学卒業後、NTTコミュニケーションズを経て、サイバーエージェントへ入社。事業拡大に伴い株式会社マイクロアドとして会社分割し、京都研究所所長に就任。ビッグデータ分析技術を用いてDSP「MicroAd BLADE」の入札エンジン等を構築し、日本での圧倒的なシェアのみならず、APAC圏でも大きなシェアを獲得。2014年11月、位置情報データ分析の株式会社ジオロジックを創業し、独立。