「トータル・オーディエンス」が勝負のカギ。ニールセンのQ4収支報告から考えるメディア視聴者分析のこれから

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スマートフォンやOTT(ブロードバンドインターネット経由で見る動画サービス)の普及が進み、メディア視聴習慣の断片化(fragmentation)は日々加速しています。先月こちらの投稿にてメディア分析のコムスコア社の動きをお伝えしましたが、今回は視聴者分析の”大御所”であるニールセンの動きを、先週木曜日に行われた収支報告と併せて見てみましょう。

Nielsen

Q4だけで16億ドル(前年比1.4%増)、2014年全体の売上は63億ドル(前年比12.4%増)と、好調な業績を残しているニールセン。従来のテレビ視聴率調査では圧倒的なパネル調査データを持つ同社ですが、CEOのMitch Barns氏は昨今の”ビッグデータ解析熱”と2015年の動きに対して「データ計測の未来はパネル調査かビッグデータかを選ぶことではありません。質の高いパネルと粒度の細かいデータセットとを組み合わせることがオンライン/オフライン解析にとって最良の選択であり、これがニールセンの進む道です」と収支報告の中で伝えています。

Barns氏の言う「トータル・オーディエンス(統合視聴者/Total Audience)」解析データ提供に向けて、ニールセンは2014年7月にモバイル計測ツール「OCR (オンライン広告視聴率/Online Campaign Ratings)」を、10月にはデジタル視聴率を計算するためにAdobeとのパートナーシップを発表しています。「かつてないほど消費者が選択肢と決定権を持つ時代の中で、彼らがいつ、どこで、何を、どのように見ているのかを計測する、そして計測するための投資とイノベーションを起こし続ける」と改めて表明したBarns氏ですが、ニールセンの計測能力に懐疑的なパブリッシャーも少なくありません。

ディスカバリーチャンネルでお馴染みのメディア企業「ディスカバリー・コミュニケーションズ」のBeth Rockwood氏は、計測が難しい主な要因としてAmazonやNetflix、RokuといったOTTを挙げています。ニールセン自身も、技術面および計測のための”許可”を取ることが難しいことを認識した上で、2015年も引き続きオンデマンド動画配信サービス(有料購読型/無料広告付型)へ焦点を当て、今年中にOTTも含めた計測を可能にすると伝えています。

また、グローバル展開の観点では、モバイル計測ツール「OCR」が既に米国以外の8つの大きな市場(うち東南アジアが5つ)で採用されており、2015年Q2に日本(インテージと合弁会社設立済)で、また中国ではこの4月にサービスのローンチを予定しています。新興成長市場でのビジネスは2013年に前年比7%増、2014年には前年比9.5%増となっており、ニールセンにとって欠かせないものとなっています。

今後のメディア視聴者分析において、オンライン/オフラインのどちらかだけ対応していては不十分であり、Barns氏の言葉を借りれば「トータル・オーディエンス」を解析出来るかどうか、そしてその実現のために「膨大なデータ」と「能力」を持っているかどうかが勝負のカギとなりそうです。その両方で優位に立っているニールセンですが、”一人勝ち”を許さないと言わんばかりのコムスコアの追い上げが気になることは間違いないでしょう。

コムスコアはニールセンのQ4収支報告の間に、Kantar Media(WPPグループ)との戦略的パートナーシップを発表しており、この協定が問題なく成立すれば、WPPはコムスコアの株を20%取得、そしてコムスコアはKantarが持つヨーロッパにおけるオンライン計測に関するデータを含む”グローバル資源”を手にすることができます。今後も両社の動きは要チェックです。

参考:
Nielsen N.V. – Q4 and Full Year 2014 Nielsen N.V. Earnings Conference Call Webcast

Nielsen N.V. (NLSN) Q4 2014 Results – Earnings Call Transcript | Seeking Alpha
Nielsen Q4: ‘Total Audience’ Is Where It’s At – AdExchanger
comScore and Kantar Announce Strategic Global Partnership to Accelerate Cross-Media Audience and Campaign Measurement | Kantar Media

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