Google AdWordsがリアル店舗来店者数を計測開始

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米国において、いわゆるオムニチャネルへの動きにWebのビッグプレイヤーが本格的に参入してきたようです。昨年末に米Google社が発表したのは、Google AdWordsからリアル店舗への来店者数を計測するという機能。”Store Visit Conversions”と呼ぶそれは、店舗の情報を登録したGoogle My BusinessとAdWordsをリンクさせるだけで、AdWordsのコンバージョン項目として新たに来店者数を表示できるようになります。つまり、”Cost Per 来店者”が算出可能となるわけです。まずは米国の適格広告主から開始されるようですが、いずれ日本でも展開されるでしょう。

広告主に店舗データベースを作らせる

Google My Businessは以前はGoogleプレイスとして日本でも知られていたサービスを、Google+への連携などを行って強化したもの。ここに店舗の住所を登録しておくことで、AdWordsのクリックユーザーが店舗周辺に訪れた際に、コンバージョンとしてカウントすることができます。つまり、広告主はGoogle My Businessとして一般に公開しておくべき店舗の情報を整備しておくだけでよく、広告出稿のためだけの店舗住所の入力や入稿は必要ないのです。それだけでなく、その住所データはAdWords広告の住所表示オプション(Location Extentions)として、道案内などの広告クリエイティブも最適化してくれます。

Googleにしかできないこと

この来店数計測はGoogle社だからこそできるサービスと言えます。以前から、Googleアカウントにログインしているユーザーのデータを用いてPCやスマホ等のデバイスをまたいでのコンバージョンを推測する機能はリリースされていましたが、ここにGoogleが取得している位置情報も加わったわけです。住所付きの店舗のデータベースをきれいなフォーマットで整備させ、広告クリックユーザーのデータはマルチデバイスで捕捉し、ユーザーの位置情報を用いて計測をする。

Google以外のプレーヤーでもそれぞれの機能を提供することは可能かもしれません。たとえば店舗周辺に来たユーザーの位置情報を使って来店者を検知する技術自体は誰にでも開発可能ですが、それを検知する十分なデータを保有しているプレーヤーは多くはありません。今はiBeaconプラットフォームも普及し始めましたが、iBeaconではユーザーが広告主のアプリをあらかじめインストールしていなければ来店を検知することができないのです。加えて、PCで検索してスマホだけを持って来店した場合、デバイスをまたいできちんと判定できるプレーヤーはさらに限られます。事実上、Googleにしかできないことなのです。

ポイントカードによる来店者計測の課題

また一方では、FSP(Frequent Shoppers Program)と呼ばれるポイントカードなどを発行することでも来店を検知することは可能です。しかし、その場合はcookie等のWebのユーザーIDと会員IDを紐付けるために多大な努力が必要な上、ポイントカードを発行し普及させることができるのは一部の大型チェーン店に限られてしまいます。加えて、ポイントカードは毎回顧客が会計時に提示する必要があり、何かしら購入しない限り来店データも残りません。その点で位置情報を利用した方法では、ほんの少しWeb上で登録するだけで中小の店舗でも開始できてしまう手軽さがあります。また、Googleのようなプラットフォーマーが中間で計測することで、システム投資の難しい店舗がユーザーデータを直接持つことが無く、情報流出などのプライバシーリスクを低減させられるというのも副次的な産物でしょう。

リアル効果測定が導く世界は

ネット広告が広告費におけるシェアを拡大したのは、まぎれも無く効果測定が厳密にできるようになったためでしょう。逆に言えば、効果測定が厳密にできないブランド広告予算やリアル店舗の広告予算は、マーケットサイズと比べて非常に小さなものにとどまっています。今後、ネット広告がリアルの消費者行動にどれだけつながったのかを正確に計測できるようになると、本来のリアル店舗やブランド広告の市場規模に見合う規模まで成長するかもしれません。ただし、リアル効果測定が新たなフロンティアなのかパンドラの箱なのかは、まだ誰にもわかりません。

参考:
Inside AdWords: Measure more: improving Estimated Total Conversions with store visit insights
About store visit conversions – AdWords Help

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大学卒業後、NTTコミュニケーションズを経て、サイバーエージェントへ入社。事業拡大に伴い株式会社マイクロアドとして会社分割し、京都研究所所長に就任。ビッグデータ分析技術を用いてDSP「MicroAd BLADE」の入札エンジン等を構築し、日本での圧倒的なシェアのみならず、APAC圏でも大きなシェアを獲得。2014年11月、位置情報データ分析の株式会社ジオロジックを創業し、独立。