メリットの方が多い?GoogleやFacebookが進める”広告主の囲い込み”がもたらす未来について

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Global Adtech内でもお伝えしてきた通り、FacebookのAtlasリローンチGoogle(GDN)のDSPベンダーによるサードバーティDMPピクセルの利用制限、さらに11月に発表されたAppleのモバイル広告プラットフォーム「iAd」のプログラマティック本格移行など、デジタル広告業界では「壁に囲まれた庭(Walled Gardens)」と呼ばれる”広告主の囲い込み”に拍車がかかってきています。そんなクローズドなネットワークに向かう業界の傾向を「ポジティブなもの」とする意見がAdExchangerにあがっていたので、今回はその要点をご紹介いたします。

Google apple facebook
画像:HasOffers’ CEO thinks there’s hope for third-party marketers in the new mobile landscape | PandoDaily

「(ビッグプレイヤーによる囲い込みによって)オーディエンスリーチ、ターゲティング、アトリビューションがサイロ化されてしまいますが、一方で広告主は整理された質の高い広告在庫を利用できるようになります。」と指摘しているのは、Digilantのチーフ・データサイエンティストのKrishna Boppana氏。

クローズドの環境はそれぞれのアドネットワークの広告在庫の質を高めることにつながるだけではなく、ネットワーク内の正確なアトリビューション分析、さらにクリエイティブな広告ユニットとソリューションの開発へとつながります。

正確なオーディエンスデータ

プログラマティックのベンダー達はずっと「彼らのアルゴリズムが差別化要因のカギである」と大げさに宣伝してきましたが、どれだけ正確な予想を導き出せるアルゴリズムであっても、それぞれの広告主のデータを個別のサイロに区分けしなければ、望む結果を返すことは出来ません。

例えば、あるアルゴリズムがひどく偏った大量のデータを受け取った場合、他の全ての広告主へ返す”結果”が、その偏ったデータの広告主、あるいはカテゴリーに引っ張られる形で歪んでしまいます。

大規模なブランド広告主ならまだしも、中小企業であれば、FacebookやGoogleといった「より正確にオーディエンスを把握している」と感じられるパブリッシャーに流れる動機になるでしょう。

Ad Fraud(広告詐欺)へのインパクト

多くの広告主は不透明なバイサイド側のプラットフォームやAd Fraud(広告詐欺)のせいで、未だに広告キャンペーンのパフォーマンスに対する正確なインサイトを得るにいたっていません(「広告詐欺」に関してはこちらの過去記事も併せてご覧ください)。

これらのAd Fraud(広告詐欺)に対しても、パブリッシャーによって管理された環境内であれば、より制御が効くようになることが期待出来ます。Facebookはその登録データを利用し、管理された広告在庫、広告ユニット、そしてビルトインのアトリビューション分析を提供することで広告詐欺のないソリューションの提供を約束しています。

クローズドの環境にすることで、パブリッシャーのデータ漏洩を制限し、より高いレベルの透明性を保つことによってAd Fraud(広告詐欺)問題に対処することができます。より良い品質の広告を提供する責任がバイサイドからセルサイドのプラットフォームに変わってきていることは、プログラマティックのエコシステムと広告主にとって重要な一歩です。

囲い込みを越えたリーチ

FacebookのAtlasのようなソリューションの主な問題点は、Facebookユーザー基盤にリーチが限定されてしまうことです。しかし、広告主がアプローチしたいオーディエンスがいるチャネルはFacebookネットワークには限定されません。

クロスデバイスでのユーザー特定が可能になることによって、今まで以上に「正しいタイミングで、正しいデバイスに、正しいクリエイティブによってユーザーにリーチすること」が重要になってきています。

だからこそ、広告主は1つの「壁に囲まれた庭(Walled Gardens)」で詰まってしまうのではなく、”壁を”越えてリーチをしていくために、それぞれの”庭”にあるバイサイド・プラットフォームを利用すればよいのです。

「囲い込みトレンド」は、デジタル広告業界を悪い方向へ向かわせるわけではありません。激しさを増す競争と品質のより良い広告在庫管理の普及によって、より透明性と効果が高いテクノロジーを提供出来る企業が成功する環境へと進んでいくでしょう。そして、デジタルマーケターがスケール出来る「本当の意味でのワントゥワンマーケティングの実践」にとって大きな役割を果たすと考えられます。

「囲い込み」による業界再編が進むにつれて、存続出来ない/事業転換を迫られるプレイヤーが出てくると思いますが、それでも「正確なオーディエンスデータ」と「広告詐欺へのインパクト」を考えると、この流れは広告主および業界全体にとって良い動きなのだろうと感じています。

「正確なオーディエンスデータ」を基にして、どういうタイプの人に、どれだけの期間で、平均/最高でどれだけ広告を表示させられるのかがわかれば、ブランド広告主も予算をさらにかけやすくなるでしょう。

広告主としては、アドテクに対して透明性を追求したいという強いニーズがあり、それをセルサイドのプレイヤーが提供することが成長につながることは、以前ご紹介しているTubeMogulの例から見ても間違いありません。

 

参考:
Digilant

Apple’s iAd 180: From Custom Deals To An Open Programmatic API
Walled Gardens: Not As Bad As You Think

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