激突するFacebookとGoogle 〜Atlasのリローンチによるオムニチャネル、cookie非計測問題の解決〜

Pocket
Share on LinkedIn
LINEで送る

facebook_vs_google

Source:SChicago’D

■Atlasリローンチ

9/29Facebookはマイクロソフトから買収したAtlasをリローンチさせました。
様々な報道やアトラス事業の責任者Erik Johnsonが動画で語っている所によると、ポイントは以下の5点。

  1. 人ベースのマーケティングが可能に。
  2. クロスデバイスへの対応
  3. オフラインとオンラインの垣根をなくす
  4. 効果測定精度の向上
  5. Cookie問題の解決

Cookieによる効果測定があまり期待できないモバイル端末において、ログインIDやe-mailアドレスを活用することで、PC、モバイル、タブレット、オフラインの垣根を越えてユーザーの行動を分析し、効果測定できるようになるのです。
ブラウザとデバイスをまたぐユーザーの購入過程を正確に計測できないという問題を、「人ベースマーケティング」によって解決します。
今回のAtlasリローンチは消費者の行動を一個人として複数のプラットフォームで追跡できるというもの。

Atlas…
デジタルマーケ歴の長い人たちはAtlasをこのようなクロスデバイス、オムニチャネル対応プラットフォームだと認識している人はいないでしょう。一般的には、単なる広告配信システムという程度の認識です。昨年MicrosoftからFacebookが買収した時は微妙なディールだなと思った人も多いでしょう。まさかここまで徹底的に作り直すとは思いませんでした。

 

■AtlasのリローンチによりFacebookが狙うオムニチャネル化

クロスデバイス、オムニチャネル化の進展はFacebookがやることに非常に重要な意味があります。今さら書くまでもなくFacebookは実名に基づいた個人情報を持っています。しかもそのIDはモバイルを中心に様々なデバイスにつながっています。
さらに、Facebookと連携している(利用許諾してソーシャルコネクトしている)アプリの数は数えきれません。ユーザーはFacebookをベースとして日々の行動を「利用許諾をした上で」記録しているのです。よく比較される事ですが、GoogleIDの方がたしかにメール、マップ、など日常的に使うサービスが多いのも事実です。だからGoogleの方が正しくユーザーを理解していると。クロスデバイスの効果測定では有利だ、と。
しかし、Googleサービス上での行動履歴はともかく、他のアプリとの連携において多くの利用許諾を獲得しているとは言いがたい。そして何よりFacebookは実名に基づいており、男女、年齢など多くのマーケティング上有効な推測ではないデモグラフィック情報を保持ししています。Googleのサービスのほとんどは匿名で使えるため、正確な性別、年齢など登録している人は少ないでしょう。行動履歴からそういったデモグラ情報を推測する事はできますが正確ではありません。
さらに最近ではFacebookで「BUY」のボタンがサービスインされ、購買行動も計測可能です。クレジットカード情報なども獲得していく事が予想されます。

 

■FacebookとGoogleの戦い。ここで大きい「カスタムオーディエンス」

facebook_customaudience
Source:facebook.com

複数の報道が書いているように、FacebookのAtlasリローンチの狙いにGoogleと真正面から戦うつもりがあるのは明らかです。そしてFacebookは自分たちにアドバンテージがある事を理解しています。ただし、現段階ではマーケティングプラットフォームとしてのFacebookはGoogleに遠く及びません。サイト解析もDSPもアドエクスチェンジも動画も、これらのマーケティングプラットホームをFacebookは持っていない、もしくは戦えるような代物ではない、かのどちらかです。

しかし、マーケティングプラットフォームとして一つだけGoogleに先行しているものがあります。それはFacebookのカスタムオーディエンスという機能です。広告主の顧客データを取り込める機能で、メールアドレスや会員IDなどをキーとしてFacebookプラットフォームに取り込む事が出来ます。そこで取り込まれたデータを広告に活かす事が可能です。また、昨年からはDatalogix,LiveRamp,Acxiomといったメアドや会員IDなどを大量に発行している企業との提携を進めオフラインデータ、非cookieなID情報をFacebookに提供し、さらに拡張する事が可能になっています。

 

■やっと現れたGoogleに真正面から猛然と挑むプレイヤー

まもなく広告主はAtlasというプラットフォーム上でFacebookIDを通じて、どこでもターゲティングする事ができて、どんな購買も計測できて、プログラマティックに広告を買う事が出来るようになります。このことは間違いなくFacebookの広告売上を押し上げる事になるでしょう。ほとんどのデータプロバイダ(BluekaiやDatalogixなど)が供給するデータはcookieに、かつ、おおまかなセグメント(デモグラ情報、年齢、趣味嗜好など、)に置き換えるものがほとんどです。しかも正確なのかどうかさえ怪しい。FacebookIDを通じて知る事の出来る情報はユーザー自身が入力している事から、極めて正確に近い。cookieに頼らないターゲティングが出来る事はそれほどのインパクトがあります。
一方、Googleですが、GDNは長らく広告主に利用されているし、リマーケティングやキーワードターゲティングを中心にして、様々なターゲティングオプションを提供しています。「cookieless」というターゲティングオプションも密かに準備しているようですが、現時点ではまだ明らかになってはいません。しかし、間違いなくGoogleは一部のシェアを失う事になります。オンライン広告の世界は非常にオープンなエコシステムが稼働しているので、たとえFacebookであってもGoogle/DoubleClickのアドエクスチェンジを通じてFacebookIDをキードライバとした広告を配信する事が出来ます。広告主が最初にプランニングするのは「FacebookのIDを通じて自社の見込み顧客をターゲティングし、GDN/DSPなどでリーチしたい」ということでしょう。その場合の掲載面はGoogle/DoubleClickが持っている枠のシェアが高いはずです。
圧倒的だったGoogle。ついにGoogleが提供できない価値を提供し真正面から挑むプレイヤーが生まれたことになります。

 

■GoogleもFacebookも唯一の懸念はプライバシー

Googleは強すぎる自社サービスがあだとなってプライバシーに課題を抱えています。一言で言うと「匿名化されているが、各Googleのサービスを横に紐づければ個人が特定しうるのではないか?もっと明示的にユーザーから同意を得るべきだ」実際にヨーロッパではアメリカとは少し違う展開を強いられています。
Facebookもあまりにも自分の情報を登録しすぎたり、見られ続ける事への抵抗が生まれてきました。また、あからさまに自分の登録した情報に基づいて広告が出過ぎるので、そこにも嫌悪感をもたれ始めています。

法律はもちろん世界各国違いますのでまずはそれに遵守せねばなりません。しかしその前に重要な事は消費者、生活者であるユーザーが利便性を感じなければ行けません。そこへの配慮がなければ広告云々の前にユーザーが離れていきます。

”クロスデバイス、オムニチャネルへのマーケティング展開がついに動き出した”

実際にキャンペーンをやってみれば分かるのですがcookieだけに頼ったオーディエンスデータの拡張は残念ながらまだ未完成です。データの正確性やボリュームが足りません。
理由としては、PCブラウザは複数のユーザでシェアされて使われる事、よほどはっきりとした使用の仕方をしなければ「このブラウザは●●である」という認定をするのは難しいんだと思います。
しかし、これがオフライン、スマホ、タブレット、複数のブラウザを行き来しても、全て追跡出来るなら?
長らく言われてきたcookie問題の解決の序章になるのは間違いないでしょう。それくらい今回の機能アップデートの与える影響は大きいと思います。

参考記事
http://www.chicago-d.com/digital-marketing/facebook-atlas-google-privacy/
http://online.wsj.com/articles/facebook-aims-to-shrink-googles-lead-in-digital-ads-1412182918
http://m.clickz.com/clickz/news/2373136/video-head-of-facebooks-atlas-speaks-about-revamped-platform-for-ads
http://www.adexchanger.com/data-exchanges/96474/

The following two tabs change content below.
アメリカをはじめ、海外のデジタルマーケティングに関する情報を 海外の情報源から集め、最先端のトレンドを提供しています。 皆様のビジネスに役立つ記事づくりを目指します。